おしらせ

2020-09-24 15:58:00

咲柔館コラム13 「子どもが柔道を始める時に大切なこと」

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 お子さんに柔道を始めさせたい理由は色々あると思います。その中でも特に「礼儀正しくなってほしい」「体が強くなってほしい」といったご希望が多いのではないでしょうか。確かに柔道には人を変える力があります。私も柔道のお陰で心と体を成長させることができました。ただ、変化が起きるために必要なものがあります。それは「自分の意志」です。

 

 

 私は自分の意志で柔道を始めていません。3歳上の兄が柔道をやっていたので、私も5歳頃から始めることになりました。自分から「柔道をやる」と言った記憶はなく、幼少期から中学時代までは、特に目的意識も持たず、何となく町道場に通っていました。どこかで「やらされている」という気持ちもあったと思います。だから、「全国大会に出たい」とか、「強くなりたい」という気持ちはほとんどありませんでした。両親が柔道を始めさせる上で期待していた「ダイエット効果」も出ず、体型が変わったのは、本気で柔道に向き合いだした高校時代です。

 

 

 ある町道場の先生は、五輪選手へと成長した教え子の幼少期を振り返り、「彼は道場に入ると表情が変わるんだ。そして、『僕はオリンピックに出る!』と言い続けていた。」とおっしゃっていました。もちろん勝つことが全てではありませんが、やはり幼少期の私とでは柔道に対する姿勢が全く違います。私も小さい頃から「〇〇大会で優勝したい」「〇〇という技を覚えたい」と自ら目標を立てていれば、今とは違った柔道人生を歩んでいたかもしれません。

 柔道を始めさせてくれた両親には心から感謝しています。柔道のお陰で今の自分があると言っても過言ではありません。ただ、自分自身の幼少期について後悔しているのは、道場仲間たちのように、もっと柔道を楽しくやれればよかった…ということです。だからこそ、これから柔道を始めるお子さんたちには、自分の意志で柔道を楽しくやってほしいという強い想いがあります。

 

 

 お子さんに「柔道を始めさせたい」という親御さんのお気持ちはもちろん大切です。しかし、私はそれ以上にお子さん自身の意志を大事にしてほしいと考えています。

 柔道体験に来てくださったお子さんが、稽古後に「柔道をやりたい!」と言ってくださることは多いです。柔道場を運営する上で、こんなに嬉しいことはありません。すぐにでも「入塾申し込み書」を書いていただきたい所です。しかし、私は一旦お家に帰り、ご家族で話し合って決めていただくことにしています。稽古後のお子さんは興奮状態です。お家で冷静な気持ちになった上で、親御さんから「何で柔道をやってみたいの?」と聞いてあげてください。「自分をより成長させ、世の中を良くしたいんだ!」(己の完成・世の補益「嘉納師範遺訓」より)という答えが万が一にでも出たら感動しますが、「楽しいから」「強くなりたいから」で十分だと思います。1番大切なのは自分で「やりたい!」と意志決定をすることです。これは他の習い事を始める時も同じではないでしょうか。子どもの気持ちを尊重し、意志決定の機会をぜひ与えてあげてほしいと思います。自分の意志で何かを始め、それを続けた経験は、きっとお子さんにとって大きな自信になるでしょう。

 

 お子さんが柔道をする上で最も大切なのは「好き!楽しい!面白い!」という気持ちです。咲柔館は、1人でも多くのお子さんに「柔道をやりたい!」と言ってもらえるような道場を目指しています。どうぞ、お気軽に遊びに来て下さい。

 

 

※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/nb23dec5593fc