おしらせ

2020-10-11 12:34:00

咲柔館コラム18 「夢を叶えた黒帯」

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 沢山のほつれがあり、かなり色あせている黒帯。この帯は、高校時代に夢が叶った証です。

 中3の冬に私立高校で柔道をやると決めた私は、両親にお願いして黒帯を「二本」買ってもらいました。一本は普段の稽古で締める帯。そして、もう一本は全国大会で締めるための帯です。最高級の帯に金糸でフルネームの刺繍をしてもらいました。中学3年生の私は、全国大会出場も決まっていないのに「全国大会用の帯」を作ってもらったのです。

 

 

 当時の私にとって「全国大会に出られる」という根拠は1つもありませんでした。中学校に柔道部がなかった(科学部として活動)、県大会で1度も勝った経験なし、運動が苦手(逆上がりできない、球技が下手、泳げない)、受験を決めた時に監督から言われた言葉「団体メンバーはまず難しい」。普通は、全国大会を目指さないと思います。そんな自分が、なぜ夢の実現を信じられたのかはわかりません。でも、家で帯を見ながら「この帯を締めて全国大会で戦うんだ」と100%信じきっていました。高校2年の冬、全国大会予選の約2ヶ月前には左手首の骨を折りました。普通だったらここで諦めると思います。しかし、この状態でも一本をとれる技を練習し、「自分は仲間と一緒に絶対日本武道館に行く」と信じ抜いていました。

 

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 「根拠のない自信を持ち、それを裏づけるだけの努力をする」。脳科学者である茂木健一郎さんの言葉です。高校時代の全国大会出場以外にも、「根拠のない自信」を持ち、「それを裏づけるだけの努力」をした結果叶った夢はあります。自分を信じきった時の人間の力は、本当にすごいです。時には奇跡を起こします。

 

 

 「柔道家を増やすことで社会をより良くする」。これが今の私の夢です。そのためにも柔道場経営を軌道に乗せ、安定させなくてはいけません。高校時代の状況とは単純に比較できませんが、夢に向かっている心境はとても似ています。新型コロナ禍、柔道人口の減少、日本では専業柔道場の事例が少ない、私自身の経営経験がない、など困難を挙げればきりがありません。開館前には「嵐の中への船出」と形容されることもありました。事実、そんな気持ちでスタートしました。

 大きな夢を掲げているものの、なかなか実現できていない自分をふがいなく思う事もあります。ただ、塾生様たちと一緒に稽古をしていると、柔道場経営に関して大きな「やりがい」と「可能性」を感じるのです。「柔道は楽しい!」「今日も道場に来て良かったです!」そう言っていただけると自信と勇気が湧いてきます。やはり柔道には人を成長させる、笑顔にする力があり、まだまだ多くの可能性を秘めています。

 

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 柔道から学んだ1番大きなこと「夢は叶う」。あの帯を買った時の自分も今の自分も同じ綾川浩史です。「夢は叶う」ということを40歳になっても証明したいという強い想いで動いています。この年齢になっても昔と同じように「夢中」でいられることは本当に幸せです。そして、私の夢の実現が、柔道場経営をやってみたい方などの夢につながってくれれば、こんなに嬉しいことはありません。

 これからも自分と柔道の可能性を信じ、「年中夢求」で一歩ずつ進み続けます。

 

※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/nb4dbb151e74d