おしらせ

2021-06-10 18:24:00

咲柔館コラム82 子どもにとって「憧れの人物」とは?

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 小学生が憧れを抱く人物とはどのような人でしょうか。昨年、ベネッセコーポレーションが小学生を対象に実施した調査結果は以下の通りです。

 

1位  竈門炭治郎(鬼滅の刃) 

2位  お母さん 

3位  胡蝶しのぶ(鬼滅の刃) 

4位  先生 

5位  お父さん 

6位  冨岡義勇(鬼滅の刃)

7位  竈門禰豆子(鬼滅の刃) 

8位  煉獄杏寿郎(鬼滅の刃) 

9位  我妻善逸(鬼滅の刃)

10位 時透無一郎(鬼滅の刃) 

 

(小学生が選ぶ!2020年 憧れの人物ランキング)


 

 

 お母さん、お父さん、先生が上位に入っているのを見て、なんだか嬉しくなりました。ただ、それ以上に、人気漫画『鬼滅の刃』のキャラクターが、7人もランクインしていることに驚いています。小学生が各人物を憧れる理由として最も多かったのは「優しさ」だそうです。1位の竈門炭治郎のように、優しさと強さを兼ね備えた人物には、誰しも憧れますね。

 私も今年に入ってやっとアニメ、映画ともに観ました。大人でも色々と考えさせられる深いストーリーで、登場人物もすごく魅力的です。子ども達がキャラクターに憧れる理由もよく分かります。

 ただ、実在した(している)人物にも、鬼滅のキャラクターに負けない位かっこいい人たちがいることも知っておいてほしいです。柔道の創始者である嘉納治五郎師範もその1人です。


 

 

 柔道の素晴らしさは、「創始者の思想を学ぶことができる」という点にあります。これは、嘉納師範が膨大な量の文章を残して下さったお陰です。それらを読むことで、嘉納師範と直接話したような気持ちにもなれます。大人クラスでは、嘉納師範の言葉をそのまま紹介することが多いですが、子どもクラスではそうはいきません。幼児や小学生でも分かるように、やさしい言葉に言い換えて伝えることを心がけています。




 

 先日は、「嘉納師範が後悔していること」についてこのように話しました。

 「嘉納先生はね、学生時代のことで後悔があるんだって。それは、全ての教科をもっと勉強しておけば良かった、ということ。もちろん、テストでは合格点をとっていたんだよ。でもね、学校の授業には関係ない、興味がある本を読むことに力を入れすぎていたんだって。子どものうちは、学校の授業で色々なことを広く学び、しっかりと身につけることが大切だよ。それは将来の何か1つのことを深く学ぶ上での土台となるからね。だから、なるべく教科の好き嫌いを作らずに、どの授業も頑張ってみてね。」

(参考文献 『嘉納治五郎 私の生涯と柔道』/日本図書センター)

 

 あるお子さんは、この話にとても興味を持ったようです。稽古後に「さっき話した嘉納先生の言葉は、どの本に書いてあるの?」と聞いてきたので、本を見せてあげました。もちろん、難しい言葉や漢字が多いので、内容を全て理解することはできなかったと思います。ただ、お子さんたちが、少しずつ嘉納師範に対して憧れの気持ちを抱き始めているのが伝わってきました。真剣な表情で本を読んでいるお子さんたちを見て、胸が熱くなりました。




 「柔道を教える」ということは、技だけではなく、柔道の心を伝えることも大切だと考えています。その上で、嘉納師範が残した言葉以上の教材はありません。最近では、嘉納師範に関する子ども向けの本も多く出版されていまするので、それらも用いながら、嘉納師範や柔道の魅力を伝えていきたいと思います。人にとって「憧れ」は生きる力にもつながります。嘉納師範の言葉や生き方が、塾生様たちの勇気や希望につながってくれれば嬉しいです。



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※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/n37558cd83174