おしらせ

2021-07-22 12:46:00

咲柔館コラム91 白帯キッズ 夏の挑戦~昇級試験を通じた子どもの成長~

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 帯の色が変わるのは、子どもにとってすごく嬉しいことです。私も小学生の頃、紫帯や茶帯にとても憧れていました。

 咲柔館では現在、半年以上通っているお子さんを対象に、昇級試験を実施中です。咲柔館として初の昇級試験を行うにあたり、国内外の色々な柔道場、他の武道、スポーツクラブなどの昇級制度も参考にしました。

 私がこの昇級試験で大切にしたいのは、「昇級試験を通じた成長」です。合格した時だけでなく、もし落ちてしまった場合も、何らかの成果や小さな自信を得られる試験にしたいと考えています。


 

 

 まず、お子さん達に昇級の条件を明確に示しました。今回の昇級試験は、お子さんそれぞれのの力量に合わせ、10級から8級を実施しています。昇級条件は、約20項目です。その一部をご紹介します。

 

・柔道を作った人を言える。

・柔道精神を言える。

・立礼、座礼が正しくできる。

・柔道衣を自分で着られる。

・柔道衣をきれいにたためる。

・時間を守れる(稽古開始、休憩など)。

・そんきょの姿勢から受身(後受身・横受身)ができる。

・柔道衣をしっかりと握り、相手を崩すことができる。

・支釣込足で安全に投げることができる。

・支釣込足で投げられ、安全に受身がとれる。

・寝技の補強(わきしめ・えび)ができる。    など

 

 

 これらの項目が書かれた表を、各自の「振り返りノート」に貼ります。昇級試験は小分けに行っており、1回の稽古につき10分程度です。できた項目は、その都度私が〇をつけていきます。7月中に全ての項目が〇になれば昇級です。

 私は〇になった過程についても、誉めることを心がけています。「前は受身の手を打つのが遅かったけど、今回は良いタイミングになったね。これは一所懸命練習をした成果だよ。」このように過程を評価する目的は、「練習をしたからできるようになった。」と思ってもらうことです。「やればできる」ということ、そして「練習の大切さ」を実感してほしいと思います。

 お子さん達は、本当に粘り強いです。なかなか〇にならない項目に対しても、「さっきは、先生が少し教えてくれたから、もう1度自分だけでやってみる。」「今日できなかったけど、来週もう1回挑戦するね。」と前向きに努力し続けています。自分の力でできるようになった喜びを1回でも多く味わってほしいです。


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 今回の昇級試験に、全てのお子さんが受かるかは分かりません。もちろん、試験を受けている全てのお子さんに色帯を締めさせてあげたいです。ただ、甘い評価でとりあえず〇をあげ、合格させてしまうことは、本人にとってプラスになりません。1度変わった帯の色は、元に戻らないからこそ、昇級させる側としての責任があります。その級に見合った力量、振る舞いがきちんと身についた上で、帯の色を変えたいと思います。


 

 

 昇級試験を通じて、お子さん達に変化が現れてきました。それは、技術面だけではありません。柔道衣のたたみ方が丁寧になったり、礼がきれいになるなど、柔道家としての振るまいが身についてきました。中には、嘉納師範の生涯に興味を持ち出したお子さんもいます。

 試験は、子どもを成長させる良い機会です。大切なのは「結果」だけではありません。そこに至るまでの「過程」や、「上手くいかなかった事」にも成長の種が沢山あります。その種を見つけてあげることが大切です。

 これからも白帯キッズの夏の挑戦をしっかりと見守っていきます。


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※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/nf88b99df82f0