おしらせ

2021-01-21 16:39:00

咲柔館コラム44 「世界チャンピオン」と戦って感じたこと🏆

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 私は過去に2人の世界チャンピオンと試合をしたことがあります。鈴木桂治さん(2004年アテネオリンピック100㎏超級 金メダリスト)と棟田康幸さん(2003年大阪世界柔道選手権大会100㎏超級・2007年リオデジャネイロ世界柔道選手権大会無差別級 金メダリスト)です。

 

 

 

 鈴木選手とは高校2年生の時に、ある招待試合(団体戦)で試合をしました。当時の私は、国士舘高校1年生の鈴木選手を全く知りませんでした。それは監督も同様だったようです。「綾川がポイントをとって、あとの4人はしのぐ(引き分け)」という、恐ろしい作戦を試合前に告げられました。ただ、一緒に団体戦を組んでいた後輩が鈴木選手と同郷(茨城県)であり、彼の強さを良く知っていたのです。試合直前に、後輩が私に耳打ちをした「先輩、鈴木はやばいですよ。」という言葉に全身が震えました。

 試合の展開は今でもはっきりと覚えています。私は開始早々にかけられた内股で宙を舞ったのですが、何とかうつ伏せでしのぎました。「寝技が強い国士舘」という情報は熟知していたので、私は必死で亀(防御姿勢)になります。ところが、組み手を持ったままの鈴木選手は軽々と亀になっている私を立たせ、もう1回内股で投げました(寝姿勢なのでポイントはありません)。そのまま袈裟固で抑えられ一本負けです。組み手の速さ、技の巧さ、試合展開のスムーズさ、どれをとっても高校1年生とは思えない一流の技術でした。

 

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鈴木桂治先生(国士舘大学柔道部 総監督)

 

 

 

 棟田選手とは大学4年生の全国大会(団体戦)で試合をしました。日本武道館の電光掲示板に「棟田ー綾川」と掲示されているのが信じられず、まるで夢の中にいる様に感じました。

 組んだ瞬間の印象は「岩」です。全く崩せる気がしませんでした。何とか1度だけ自分の得意とする相手の片脚を持ち上げる大内刈をかけて、お互いにもつれましたがポイントはありません。その後、私が払腰をかけますが、裏投で返され一本負け。投げられる直前に見た、私の腰のあたりを抱える棟田選手の太い両腕が忘れられません。信じられない程の圧力と、技の受け方・かけ方の巧さがとても印象的でした。

 

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棟田選手に負けた直後の私です…

 

 

 


 対戦当時のお二人は世界チャンピオンではありませんでしたが、明らかに「住んでいる世界が違う」と肌感覚で感じました。全く勝てる気はしませんでしたが、柔道界を代表するお二人と試合をさせていただいたことは今でも大きな財産となっています。本当に良い経験をさせていただきました。

 一流に直接触れることで、大きな刺激を受けることができます。現在は、YouTubeなどで多くの試合や優れた技術講習の動画を観ることができ、とても便利な時代になりました。ただ、直接観たり、組んだりしたからこそ分かることも多くあります。塾生様たちにも、ぜひそんな経験をしていただきたいです。いつか文武一道塾 咲柔館にも世界で活躍された方をお呼びしたいと夢見ています。世界と戦った技術を教えていただいたり、海外での様々な経験を伺いたいです。きっと塾生様たちの柔道に対する想いはより強くなり、そして一生の思い出になることでしょう。

 そんな日が来ることを楽しみに、今日もコツコツと道場運営を続けていきます。

 

 


※「note
」より転載
https://note.com/shojukan/n/n9456a33f3886