おしらせ

2021-03-18 20:14:00

咲柔館コラム61 子どもたちは「休憩時間」になぜ走る?

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 咲柔館子どもクラスの稽古時間は、1時間20分です(学習を含めたトータルのお預かり時間は3時間)。休憩時間は2回以上とるようにしています。「休憩中だから座って休んでもいいよ。」と言っても、休むお子さんはほとんどいません。給水をした後は、ボール遊びをしたり、受身や技の復習をしているお子さんが多いです。時には「休憩時間中に道場を何回往復できるかチャレンジしたい!」と言って、ダッシュを繰り返すこともあります。お子さんたちはいつも元気一杯です。

 

 

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 私はこの時間がすごく大事だと考えています。なぜなら、休憩時間の表情や行動を見ることで、心身の状態を把握できるからです。体調はどうか、どこか痛くないか、お子さん同士のコミュニケ-ションはとれているか、つぶさにお子さん達の様子を見ながら、稽古メニューを微調整をすることもあります。

 写真のように目一杯遊んでいる時は、「余力」が残っている証拠です。ただ、これは決して悪いことではありません。私はあえて「余力」が残る稽古メニューを組み立てています。年齢が上がり、競技者として成熟していく上で「やりきる稽古」「全力を出しきる稽古」も時には必要です。ただ、柔道を始めたばかりのお子さんの稽古は「もう少しやりたい」という所で終わる位がちょうど良いと思っています。

 

 

 

 お子さんたちは、柔道も遊びも全力だからこそ、大人が「ゆとり」「余裕」「余白」を作ってあげることが重要です。「柔道が好き・楽しい・面白い」という想いを膨らませると同時に、「柔道はもうお腹いっぱい」にならない稽古を心がけていきます。

 

 

 

※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/n8d609b5dd06e

 

2021-03-11 21:54:00

咲柔館コラム60 咲柔館3月の稽古目標~つながることの大切さ~

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 菜の花が咲き始め、やっと春らしい暖かさになってきましたね。芽吹きだした植物やきれいな花を見ていると心が明るくなります。

 3月は2つの稽古目標を立てました(子どもクラス、大人クラス共通)。


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①足技・大腰で安全に投げよう、投げられよう。

 

 1、2月は「組まない稽古」を続けてきました。3月からは組む稽古を徐々に再開します。まずは、昨年練習した「足技」(大外刈・大内刈・出足払・支釣込足)と「大腰」の復習です。お子さんたちが技を覚えているか少し不安でした。しかし、単独練習で柔道の基本動作を反復し続けてきたかいもあり、すぐに思い出したようです。「投げる時は、相手を守るために引き手を引くんだよね。」と確認するお子さんもいました。

 コロナ禍の影響で、稽古方法も常に変化を強いられますが、「この時期にやったことも必ず活きる」と信じ、焦らずに「今できるベストの稽古」を行っていきます。

 

 

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安全に投げるための反復練習です(一般部)

 

 


②いつでも、どこでも、誰にでも、心をこめてあいさつをしよう。

 

 咲柔館の皆さんは、挨拶がとてもさわやかです。稽古内の礼法を含め、お互いにしっかりと挨拶を行っています。ただ、これが道場内だけの習慣であったら意味がありません。挨拶は人と人とがつながる上でとても大切です。「いつでも、どこでも、誰にでも」相手の目を見て、笑顔で、明るく、挨拶をしてほしいと思います。

 最近、お子さんたちは、お迎えのお母様方や、一般部の方に対して「こんばんは!」と大きな声で言えるようになってきました。元気な挨拶は相手だけはでなく、周りにいる人や自分自身も気持ちよくしてくれますね。挨拶の輪をどんどん広げていきましょう。

 

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小学5年生のお子さんは、正座で朝の挨拶をしていました

 

 

 


 組み合うこと、挨拶をすることで、人と人とのつながりを強く感じることができます。3月の稽古を通し、つながることの嬉しさや温かさを実感していきましょう。

 

 

 

※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/n12ca710d0c96

 

 

2021-03-09 17:09:00

咲柔館コラム59 道場経営で1番大切なこと

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 栃木県小山市に、46年続く専業の空手道場「養真館(ようしんかん)」さんがあります。子どもから大人まで、100人以上の方たちが稽古に励んでいる素晴らしい道場です。

 

 

 

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養真館ホームページ
https://www.yoshinkan.co.jp/

 

 

 

 昨年の6月、たまたま見つけた道場の看板に心引かれ、すぐに見学をお願いしました。それ以来、館長の高橋政雄先生には大変お世話になり、「武道の本質」や「道場経営」について教えていただいています。高橋先生の空手道・武道に対する想いは熱く、勉強になることばかりです。ほんの一部ではありますが、高橋先生の言葉をご紹介します。

 

 

 

 

「おとなしい長男くん」はお任せあれ!

 

養真館のキーワードは【自己肯定感】です。

かわいい我が子に「僕なら大丈夫!」と人生を切り拓いてほしい!

空手道は本来、争ったり比べたりするものではありません。相手と衝突しない、生命の不思議な力を引き出すものです。ですから、当館には試合がありません。

あなたのお子様が思春期を迎える時、「100点だから大丈夫」ではなく「僕なら大丈夫」となりますように!大器は晩成します。

 

 

小山市で空手ひとすじ 46年!

 

養真館には、試合も勝敗もありません。誰かと比較することなく「そのままのあなた」に指導が行われ、競争ではなく、調和から生まれる技を学びます。【眼】と【立ち姿勢】が変わってきたら、思いやりも勉強もグーン♪と成長するサイン!「大人になったあなたも楽しみだね!」

 

 

(フリーペパー『ママトコドモト』2021年2月号より) 
http://mamakodo.com/

 

 

 

 

 私は高橋先生の温かい言葉が大好きです。指導方法、経営方法だけでなく、「キャッチフレーズ」の作り方も参考にしています。広告、看板、ホームページ内の言葉は、練りに練られたものばかりです。

 

【子どもクラス キャッチフレーズ】

「しっかり あと伸びする子 育てます」

 

 子どもクラスでは、10年後、20年後にも活きる指導をされています。やはり、武道は「人生の土台作り」に最適です。

 


【大人クラス キャッチフレーズ】 

「60才からが いよいよ楽しい」 

 

 大人クラスでは、50歳、60歳になっても技がさえていく空手道を目指されています。60代になってから黒帯をとられた女性の方もいらっしゃるそうです。

 

 

 

 

 つい先日も色々とアドバイスをいただきに養真館さんに伺ってきました。道場設立から今に至るまでの歴史、道場経営の大変さと楽しさ、昇級昇段に対する考え、道場を多くの方に知ってもらうための工夫など、丁寧に教えてくださり、本当に感謝しています。その中で、高橋先生が最も強調されていたのは、お父様(初代館長)の言葉です。

 

「『誠意』を持って続ければ、必ず人は集まってくる」

 

 もちろん、経営・運営にノウハウは必要です。ただ、1番大切なのは、やはり「心」だということを再確認しました。高橋先生の穏やかな表情、優しい言葉の中に「空手道を通して人、社会の役に立ちたい」という信念を感じます。空手道、塾生様に対して、常にまっすぐ向き合ってきたからこそ、多くの方々に愛される道場であり続けられるのでしょう。

 空手道と柔道の違いはありますが、道場経営をされている大先輩が近くにいてくださり、本当に幸せです。咲柔館も養真館さんのような道場になれるよう、一日一日の稽古、お一人おひとりの塾生様に真心を込めていきます。

 

 

 

 

※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/n38d78f40d5cf

 

 

2021-03-07 19:40:00

咲柔館コラム58 とっても会いたい栃木県外の塾生様たち

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 文武一道塾 咲柔館に入塾されている塾生様は、栃木県内の方たちだけではありません。なんと、お隣の茨城県、そして東京都、神奈川県、千葉県にお住まいの方も入塾してくださっています。栃木県外の方からお問い合わせをいただいた時は、本当に驚きました。皆さんは、昨年の感染状況が落ち着いていた時期に入塾されました。もちろん、頻繁に来られるわけではありません。月に数回程度通われる予定でした。しかし、緊急事態宣言が発令、延長され、現在は稽古に参加することができていません。

(お問い合わせをいただいたものの、咲柔館に来ることができていない方たちもいらっしゃいます。)

 

 

 

 

 「色々な地域の方たちと一緒に柔道がしたい」「マスクをとって思いっきり柔道がしたい」開館から8ヶ月間、ずっとそう思い続けています。スタートから我慢の連続です。しかし、このような中でも、県外の方達が入塾してくださった事は、私にとって大きな希望になっています。 

 今まで柔道を36年間続けてきて、辞めたくなったことは何度もあります。夢を諦めかけたことは、1度や2度ではありません。でも、今は私にとって辞める時でも諦める時でもないです。今こそ柔道で身につけた「がんばる力」と「ふんばる力」を大いに発揮し、粛々と今できるベストを尽くしていきます。「今お会いできない塾生様たちと一緒に稽古をする」という目標も私にとって大きな原動力です。 

 

 

 

 

 何も咲かない寒い日は

 下へ下へと根を伸ばせ

 やがて大きな花が咲く

 

 

 

 

 まだまだ気を抜けない日々が続きますが、皆さんも健康にお気をつけてお過ごしください。県外の方達ともまた笑顔で柔道ができる日が来ると信じ、咲柔館はしっかりと根っこをはっていきます。

 

 

 

 

※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/n33635431aa74

 

 

2021-03-04 19:30:00

咲柔館コラム57 科学の研究から学んだ「守破離」

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 私の中学校には柔道部がありませんでした。柔道は町道場で続け、大会は担任の先生が引率をしてくださいました。おいそがしい中、毎回試合に来てくださった担任の先生に、今でも心から感謝しています。

 柔道部はなかったものの「部活には必ず入らなくてはいけない」という決まりがありました。そこで私が選んだのは「科学部」です。小学校時代から理科が好きでした。ただ、入部した動機は「ほとんど活動を行っていないので楽そう」という安易なものです。顧問の先生に入部理由を聞かれ、「顕微鏡で微生物を見たい」と適当に答えました。

 

 

 

  

 実際に、ほとんど活動はありませんでした。たまに顧問の先生から「コケとタニシだらけの水槽掃除」をお願いされたくらいです。ところが、2年生になってから、顧問の先生が変わり、活動方針が一変します。新顧問の先生は全部員を理科室に集めてこうおっしゃいました。「ほとんど活動を行っていないようだね。でも、これからは違うよ。本気で活動する気持ちがある者のみ科学部に残りなさい。」私は戸惑いながら、こう思いました。「本気の科学部の活動って何するの?」

 

 

 

 

 結局、私の学年は全員が科学部に残り、放課後は理科室に直行する日々が始まったのです。顧問の先生は、まず私たちに1枚の紙を渡しました。それは「スタンプラリー」のような表でした。実験や研究をする上で必要な基礎知識、基本技術が20項目くらいあり、先生にレクチャーを受けた後、チェック試験が行われます。先生から合格をもらうと「スタンプラリー」にハンコが1つ押され、全部埋まった人のみ「自由研究」ができるというシステムです。「試験管・ビーカーの正しい洗い方」「顕微鏡で観察しながらスケッチする方法」「写真撮影と現像の仕方」「危険な薬物の扱い方」など、細かい部分まで丁寧に教えていただきました。先生のチェックは厳しかったのですが、その分、全項目が埋まった時の達成感はとても大きかったです。自分が「科学者の卵」になったような気持ちになりました。

 

 

 

 

 全部員が自由研究の許可をいただき、私たちの学年は、理科の授業で習った「結晶」を作る研究に着手しました。「スタンプラリー」で身につけた基礎知識、基本技術を活用しながら、みんなで試行錯誤を繰り返す日々は本当に楽しかったです。これこそが「本気の科学部の活動なんだ」とその時気づきました。そして、ある日結晶を大きくする名案が思いつき、試してみた結果、美しくて大きな「塩」「硫酸銅」「ミョウバン」の結晶ができた時の感動は格別でした。しかも、その研究内容をまとめ、市の理科研究展覧会に出展した所、なんと1位にあたる「特賞」を受賞したのです。適当な気持ちで入部した2年後に、こんな結果が待っているとは夢にも思いませんでした。1人の先生との出会いが、人生観を変えることもありますね。素晴らしい先生との出会いに感謝しています。

 この「スタンプラリー」方式は、ぜひ咲柔館でも活かしたいです。自分の習熟度を確認しながら、少しずつ自信をつけられるとても良い方法だと思います。

 

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以前、「初心者用」に作ってみたものです

 

 

 

 

 科学部の活動を通して、私が1番学んだことは、「基本を徹底して身につけること」の大切さです。昔から武道や芸道に「守破離」という言葉があるように、まずは基本を忠実に守り、基本をものにしてこそ、新たな発想が生まれ、更なる発展を遂げることができます。柔道衣をきれいにたたむ、礼を丁寧にする、受身を正確に行う、補強トレーニングを道場の端から端までやる、打ち込みを黙々と繰り返す、そういった基本を地道に続けた人だけが、自分だけの「技」や「生き方」を見出せるのかもしれませんね。

 柔道は「基本」が第一です。子どもも大人も基本を繰り返し、柔道場で人生の土台を作っていきましょう。

 

 

 

 

※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/nc970010ba0af

 

 

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