おしらせ
2021-01-23 16:42:00
咲柔館コラム45 「心の握力」を鍛えよう~心と心をつなぐ柔道~
握手をした時に、相手の気持ちが何となく伝わってきた経験はありませんか。マラソン界の名将であった小出義雄監督は、握手を通して「勝つ人の感触」を学ぶよう選手に勧めていたそうです。
※「 」内が小出監督の言葉です。
女の子には、「会社に入ったら、課長とか部長、役員と握手をしろ」と言う。
「手の感触をつかんでほしいんです。」
握手をすれば、その人がわかると言うのだ。
これはただの見分け方ではない。
自分がどうしたら勝てるかと考える練習でもある。
手の感触で、どういう人が勝てるかを学ぶのだ。
「握手をして、どういう人が課長になったか、部長になったか、役員になったか、感触を通して自分で考えるんです。そうすると、共通したものがあるのです。自分が勝ちたいという意欲も芽生えてくるんです。」
(『本当の生きる力をつける本』 小出 義雄+中谷 彰宏 著/幻冬舎)
組むと相手の実力がわかる。これは、柔道経験者であれば実感したことがあるでしょう。組むことで伝わってくるのは、力だけではありません。相手の気持ちまで伝わってきます。これは、海外の方と柔道をする時も同様です。言葉が通じなくても、1回乱取りをしただけで一気に心の距離が縮まります。私も海外の方と柔道をしたことがありますが、あっという間に仲良くなれました。柔道は人と人の心をつなぐすごい力があります。
柔道は投げた後も相手とつながっています。いわゆる「残心」です。投げた時に引き手をしっかり引くことで、相手の怪我を予防します。
「ケガ予防には引手を引くタイミングが重要であろうと考えます。引手の強さが相手にけがをさせるという意見もありますが、引手を引くということは、崩しの中で相手の重心を動かすことと合わせて、投げられて動いていく相手に手を引くことで横回転(縦に動く人に、先端から少し下の位置で動かす)を生み出していくことになろうと考えられます」
(『柔道とは、柔(やさ)しい道である。』 米田 實 著・宮崎 誠司 共同執筆/ベースボールマガジン社)
柔道は常に相手とつながっています。そうした日々の稽古を通して、相手の心を想像する力、相手を思いやる姿勢が自然と養われていくことが柔道の素晴らしさです。柔道は「相手と直接つながるコミュニケーション」とも捉えることができます。
IT技術の発達によりコミュニケーション手段は変容し続けています。直接会わなくてもコミュニケーションをとれる便利な時代になりました。しかし、「フェイス・トゥ・フェイス」のつながりも重要です。直接人と会うことでしか分からない「情報」、得られない「喜び」もあります。
柔道は心と心が直接つながる力、つまり「心の握力」を鍛えられる武道です。柔道精神をきちんと理解した方同士が組み合って稽古すると、お互いの関係性はより深まります。だからこそ、友達を作るのが苦手なお子さん、人づきあいが苦手な方にも、柔道をおすすめしたいです。きっとコミュニケーションスキルが少しずつ向上すると思います。何より「柔道友だち」というかけがえのない仲間もできますよ。
皆さんも柔道場で「心と心がつながる楽しさ」を感じてみませんか。
※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/n9d613988e04c
2021-01-21 16:39:00
咲柔館コラム44 「世界チャンピオン」と戦って感じたこと🏆
私は過去に2人の世界チャンピオンと試合をしたことがあります。鈴木桂治さん(2004年アテネオリンピック100㎏超級 金メダリスト)と棟田康幸さん(2003年大阪世界柔道選手権大会100㎏超級・2007年リオデジャネイロ世界柔道選手権大会無差別級 金メダリスト)です。
鈴木選手とは高校2年生の時に、ある招待試合(団体戦)で試合をしました。当時の私は、国士舘高校1年生の鈴木選手を全く知りませんでした。それは監督も同様だったようです。「綾川がポイントをとって、あとの4人はしのぐ(引き分け)」という、恐ろしい作戦を試合前に告げられました。ただ、一緒に団体戦を組んでいた後輩が鈴木選手と同郷(茨城県)であり、彼の強さを良く知っていたのです。試合直前に、後輩が私に耳打ちをした「先輩、鈴木はやばいですよ。」という言葉に全身が震えました。
試合の展開は今でもはっきりと覚えています。私は開始早々にかけられた内股で宙を舞ったのですが、何とかうつ伏せでしのぎました。「寝技が強い国士舘」という情報は熟知していたので、私は必死で亀(防御姿勢)になります。ところが、組み手を持ったままの鈴木選手は軽々と亀になっている私を立たせ、もう1回内股で投げました(寝姿勢なのでポイントはありません)。そのまま袈裟固で抑えられ一本負けです。組み手の速さ、技の巧さ、試合展開のスムーズさ、どれをとっても高校1年生とは思えない一流の技術でした。
鈴木桂治先生(国士舘大学柔道部 総監督)
棟田選手とは大学4年生の全国大会(団体戦)で試合をしました。日本武道館の電光掲示板に「棟田ー綾川」と掲示されているのが信じられず、まるで夢の中にいる様に感じました。
組んだ瞬間の印象は「岩」です。全く崩せる気がしませんでした。何とか1度だけ自分の得意とする相手の片脚を持ち上げる大内刈をかけて、お互いにもつれましたがポイントはありません。その後、私が払腰をかけますが、裏投で返され一本負け。投げられる直前に見た、私の腰のあたりを抱える棟田選手の太い両腕が忘れられません。信じられない程の圧力と、技の受け方・かけ方の巧さがとても印象的でした。
棟田選手に負けた直後の私です…
対戦当時のお二人は世界チャンピオンではありませんでしたが、明らかに「住んでいる世界が違う」と肌感覚で感じました。全く勝てる気はしませんでしたが、柔道界を代表するお二人と試合をさせていただいたことは今でも大きな財産となっています。本当に良い経験をさせていただきました。
一流に直接触れることで、大きな刺激を受けることができます。現在は、YouTubeなどで多くの試合や優れた技術講習の動画を観ることができ、とても便利な時代になりました。ただ、直接観たり、組んだりしたからこそ分かることも多くあります。塾生様たちにも、ぜひそんな経験をしていただきたいです。いつか文武一道塾 咲柔館にも世界で活躍された方をお呼びしたいと夢見ています。世界と戦った技術を教えていただいたり、海外での様々な経験を伺いたいです。きっと塾生様たちの柔道に対する想いはより強くなり、そして一生の思い出になることでしょう。
そんな日が来ることを楽しみに、今日もコツコツと道場運営を続けていきます。
※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/n9456a33f3886
2021-01-15 13:29:00
緊急事態宣言発令に伴う「稽古時間」「稽古内容」の変更について
いつも文武一道塾 咲柔館のホームページをご覧くださり、誠にありがとうございます。
さて、栃木県にも緊急事態宣言が発令されました。それに伴いまして、1月15日(金)から2月7日(日)までの期間は、「稽古時間」及び「稽古内容」を一部変更いたします。
①稽古時間
平日(火~金)
【幼年部・少年部】
16時30分~18時30分
↓
16時30分~18時15分 に変更
【中高部・一般部】
19時~20時30分
↓
18時45分~20時 に変更
※土曜日の時間変更はありません。
※栃木県からの「営業時間短縮(20時まで)の協力依頼」を受けての変更です。
②稽古内容
「お互いに組み合う稽古」は行いません。
その分、「受身」や「柔道の基本動作」を身につける稽古をしっかりと行います。
変更期間は、1月15日(金)から2月7日(日)までです。
引き続き、感染症予防策(マスク着用・手指消毒・検温・体調調査・施設の消毒清掃・換気)を徹底してまいります。
なにとぞ、ご理解、ご協力のほど、宜しくお願いいたします。
皆様におかれましても、くれぐれもお体に気をつけてお過ごしください。
何も咲かない寒い日は
下へ下へと根を伸ばせ
やがて大きな花が咲く
2021-01-13 17:56:00
咲柔館コラム43 咲柔館1月の稽古目標~「大腰」と「傾聴」で自他共栄を実践~
2021年の稽古は1月5日から元気にスタートしました。やはり、柔道衣を着て、畳の上に立つと気持ちが引き締まりますね。
1月は2つの稽古目標を立てました(子どもクラス、大人クラス共通)。
①大腰で安全に投げよう。投げられよう
昨年は、受身や足技を中心に稽古をしてきました。「腰技」をテーマにするのは初めてです。大腰は、投げる側も投げられる側も体が回転しますので、今までの技に比べて少しレベル上がります。ただ、昨年から上半身と下半身に分けた「分習法」として、大腰の練習は行ってきました。例えば、2本の帯を使った「引き手と釣り手の動かし方」やボールを使った「体さばき」の練習です。これらを「全習法」として同時に行うことで、自然と大腰に近い形になるように準備をしてきました。そのかいもあって、初めて大腰をかけたお子さんは、すんなりと技の形を理解できたようです。
1月は大腰で安全に投げる、投げられる練習を繰り返し、今後「背負投」や「釣込腰」といった技につなげていきたいと思います。技術の進歩に近道はありません。基本を大切に、じっくりと技を磨いていきます。
【上半身】
「時計と電話」
引き手は「腕時計」を見るように
釣り手は「電話」をとるように
【下半身】
「回転ボール」
投げたボールをキャッチしながら、体を180°回転
「大腰」の稽古を重ね、「釣込腰」も習得
②目と耳で話を聴こう(傾聴)
IT技術の進歩により、いつでも、どこでも、誰とでも、瞬時につながることが可能になりました。コロナ禍の影響で普及した「オンライン授業」や「オンライン会議」などは、今後も大いに活用されていくでしょう。しかし、「目が合わない」「相づちがない」など「オンラインでは空気感を共有しにくい」という課題もあるようです。便利になった反面、「フェイス・トゥ・フェイス」で人と人とがコミュニケーションをとる機会は減ったのかもしれません。
人の話は「目」で聴く。多くの方が、幼い頃に教わったと思います。人の話は聞き流すのではなく、心を傾けることが重要です。対話を通してお互いに共有しているのは、「情報」だけではありません。「情動」(感情)を共有することも大きな目的です。話している人に対して、目と体をきちんと向ける習慣を身につけ、心と心を通わせるコミュニケーションを大切にしていきたいと思います。
相手がいるから柔道ができる。相手がいるから話ができる。人は1人では生きてはいけません。「自他共栄」の精神を、柔道の稽古や道場生活の中で実践していきたいと思います。そして、1番大切なのは、この経験を学校生活や社会生活にも応用することです。
「柔道家が増えることで社会はより良くなる」という、文武一道塾 咲柔館の理念を今年も大切にしていきます。
※「note」より転載
https://note.com/shojukan/n/nfbc715310b0d
2021-01-12 11:08:00
「未来の体育共創サミット2021」で咲柔館のお話をします!
「未来の体育共創サミット2021」